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ストラスブールのバス

Les Halles停留所に2本並んで停車する連接バス(2004/3/1)

 ストラスブールの交通政策の目標は、公共交通全体のレベルアップにあります。そのためトラムだけではなく、バスの戦略も重要になってきます。トラム、バス単体で考えるのではなく、両者を結合した公共交通ネットワークとして運営する必要があります。トラムは輸送力が大きい交通機関ですが、建設にコストがかかるのでストラスブール都市圏全域にネットワークを張り巡らせることは不可能です。毛細ルートまでネットワークするバスのネットワークがトラムのネットワークを補完する必要があります。ストラスブールでは、都心に通じる幹線ルートは基本的にトラムであり、それに接続するフィーダー系統ならびに、外環状的なルートをバスが担っています。運賃はバスとトラムを乗り継いでも通しで計算するので、運賃制度上もトラムとバスのネットワークは結合しています。近年バスも新車導入を進め、ノンステップ車の割合を増やし、さらに乗降客の多い路線には2台車体が繋がった連接バスを導入しています。



ストラスブール・バス系統

 ストラスブールの市内交通は、CTS(ストラスブール交通公社)によってトラムとバス全路線が一体となって運営されています。ストラスブールのバスネットワークは4系統のトラムを背骨に組み立てられています。大きく分けて、(1)トラムの無い地区と都心を結ぶ系統、(2)トラムに接続して遠方へ行く系統、(3)外環状線系統の3つがあります。都心と言っても、基本的に旧市街の中之島を通過する系統はありません。厳密に3つに当てはまるかと言えばそうではなく、外環状線系統がトラムのフィーダーの役割をしているような感じもあります。バスにはいくつか拠点停留所があり、そこに数系統のバス路線が集まり、トラムと接続しています。トラム・バス接続拠点となるのは、Rotonde、Hoenheim Gare、Pont Phario、Montagne Vert、Baggersee、Esplanade/Observatoireがあげられます。また都心側の拠点は、南側がAnsienne Douane、北側がHomme des Fer/Les Hallesです。とくに一番の拠点となっているのが西部のMontagne Vertで、ここから西部地区にむかうバスの始発ターミナルともなっています。Baggerseeも、南の拠点で空港バスを始めとする南部へ向かう系統の始発駅になっています。



ストラスブール・バス車両カタログ

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Agora単車形(Renault)

 
 ルノー製のノンステップバスです。1997年から順次増備が進められており、CTSバスの最大勢力の観があります。当初はディーゼルエンジン車が投入されていましたが、途中からCNG車に切り替わりました。現在では大半がCNG駆動のバスです。内装はトラムにあわせて緑色のイス、壁色はクリーム色となっています。全車エアコン装備されています。Renaultのバス部門はFIAT-Ivecoとの合弁会社のIrisbus変わったので、途中からIris製に変わっています。ルノー時代に作られたものは前面に菱形のルノーエンブレム、Irisbus製のものはイルカのエンブレムに変わっています。Iris製でも、後部にはRenaultのロゴが入っています。

R312(Renault)

 ルノー製のワンステップバスです。フランスは日本より早くワンステップバスを導入しているため、現在では旧式になる車両です。段差があるとはいえ、だいぶ床が低いので乗降は楽です。トラム登場前に作られた車両なので、内装はグレーの壁色に座席の布地はグレー色に赤玉模様となっています。主に都心のAncienne Douane始発の系統(11、14、21、24系統)に使用されます。全車非冷房なので、夏場はかなり暑いです。Agoraなどに比べれば旧式に入る車両ですが、年式がまだ新しいので置き換え対象にはなっていません。

GXシリーズ(Heuliez)

 Heuliezバスは名前も、車両の概観もどことなくドイツぽい感じがしますが、ルノーと並ぶフランスのバス製造大手です。結構親会社がころころ変わっており、最近までルノー系列でしたが、現在はファイアット系列になっています。ストラスブールではHeuliez製バスは少数派で、30系統でしか運用されません。ストラスブールで運行されているHeuliezバスは全車ノンステップ車です。ルノー系のバスに比べて、前面の白色部分の面積が多いので、一目で区別が付きます。

SC10(Renault)

 1980年代のフランス標準となったルノーのバスです。1980年代製の割には、全体的に丸みを帯びたデザインで、どこかアンティークな感じのする暖かみのあるデザインのバスです。トラム導入と前後してリニューアルを行い、内装は新造車と同じく緑系の座席にクリーム色の内壁となっています。改装をしているとは言え旧式の車両であり、冷房もなく段差もあることから近年はAgoraに置き換えられています。現在では、定期運行は24系統や27系統あたりにはいる程度で、あとは通学専用バス運用に入るくらいです。引退した車両の一部は座席を撤去して移動パビリオンに改装されており、2003年4月のトラム=トランのコンセルタシオンでも使用されました。
※このバスは、さすがに2010年現在、ほぼ引退していると思われます。

AG300(Van Hool)

 連接形のノンステップ車両で、1993年から導入されています。連接バスは日本ではなじみがありませんが、バスの輸送力アップの切り札としてヨーロッパではどこの都市でも見ることができます。Van Hoolはベルギーのバス製造会社で、いち早くノンステップバスを開発したためにベルギー各地やフランスの諸都市でVan Hool製のバスが走っています。ノンステップ車となるとエンジンスペースに苦労しますが、このAG300形では前位車体の車内にエンジンルームがあります。そのため、前・後とも車内すべてフル・フラット化が実現しています。一部の車両(初期製造分)には冷房がついておらず、夏暑いストラスブールでは結構つらいものがあります。車内はトラム同様の緑座席にクリーム内壁。ほぼ6・7系統に限定運用されており、あとは4系統でAgora連接形の代わりに入ったり、土曜日の21系統に入るくらいです。

Agora連接形(Renault)

 ルノーが開発した連接低床バス。Agoraの連接バージョンで、AG300に代わって導入が進んでいます。こちらはAG300とは異なり、後部エンジン構造になっています。そのため、後位車体は一段床が高くなっています。つまり、ノンステップバスとワンステップバスをつないだような構造になっています。車椅子の人は前位のドアで乗降すればよいので、後位車体の出入り口に段差があってもとくに問題はありません。まだ数が少ないこともあり、この車両は完全に4系統(4A含む)での限定運用になっています。

空港連絡専用車

Navette Aéroport(空港連絡系統)の専用車です。SETRA製の低床車で、スーツケース利用に備えて車内に荷物置き場があります。塗装はCTS標準塗装ですが、車体に大きくNavette Aéroportと書かれており、飛行機とトラムの絵も描かれ、トラムへの連絡を強調しています。
 現在はNavette Aéroportバスが廃止されたので、このバスは走っていません。

ベンツ製連接車

ベンツ製の低床連接車です。最近になって、ベンツ製も投入されました。
バスの形式名は、Georges Muller"Generation Tram"、Oberlin、2000、p.119を参照した

※なお、近年(2005年以降)に導入された新型車の一部は、未掲載ですのでご了承ください。
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2004年3月3日ページ作成
2004年3月23日更新
2010年6月28日更新

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